日本バドミントン協会

サステナビリティ基本方針

持続可能な未来への取り組み
Towards a Sustainable Future

はじめに

地球環境や社会を守り、今も、これからずっと先までも、多くの未来の子どもたちにバドミントンができる環境を残すために、わたしたち日本バドミントン協会は、サステナビリティ基本方針を公表します。

地球温暖化、海洋保全、貧困、紛争、人権問題……。現代の社会には、地球規模の課題が山積しています。サステナビリティ(持続可能性)は、それらの課題の解決を目指し、今だけでなく将来世代にわたって誰もが豊かさを享受できる社会を実現するための重要な考え方です。

これらの地球規模課題は少し大きすぎる、と感じる人もいるかも知れませんが、わたしたちバドミントン界にとっても、実は身近な問題です。水鳥の羽を使ってプレーするわたしたちのスポーツは、地球温暖化、エネルギー問題、海洋汚染、経済格差によるスポーツ人口の減少などといった課題に直面しています。

世界で推定約3億人以上がプレーし、日本協会の会員登録数は約30万人。子どもからシニアまで楽しめるバドミントンを楽しむ人たちが一丸となれば、社会課題の解決に貢献することができる。そう信じて、未来のバドミントンと子どもたちのために、わたしたちは皆さんと共に取り組んでいきます。

Rally for Earth

Rally for Earth ロゴ
日本バドミントン協会
サステナビリティスローガン

サステナビリティ基本方針

この方針の合言葉は、 Rally for Earth(ラリー フォー アース)
です。

私たちは、このスローガンに込めた決意を、以下の3つの方針として具体化しています。

共に挑む

企業・団体・地域社会と共に手を取り合い、地球と社会の課題解決にチャレンジします。

未来を繋ぐ

共生社会と地球環境を守り、次世代のこども達に健やかな未来を引き継いでいくことを目指します。

日本からアジア、世界へ

日本での取り組みをアジア地域や世界と共有し、国境を越えたチームプレーでサステナビリティの輪を広げていきます。

重点分野

私たちは、バドミントンにとって特に重要度が高いサステナビリティ課題を特定・類型化し、以下の3つを重点領域として設定しました。

1. DEI(多様性、公平性、包摂性)・人権

背景

  • 世界で推定約3億人以上がプレーし、日本の学校の部活でも人気。特にアジアではトップレベルの競技力と人気を誇ります。男女ともに同じルール・同じステージで競い合える点は、ジェンダー平等を推進しやすく、また高齢者も続けやすい生涯スポーツであるという強みを持っています。

主な取り組み

  • 特に地域のガバナンスにおける女性活躍の推進、ジェンダーに配慮したプレー環境の推進、ジェンダー多様性(LGBTQ+)への配慮、障がい者や外国人との共生、経済格差の拡大への対応などを牽引し、誰もが安心してイキイキとスポーツを楽しめる共生社会を目指します。
  • あらゆる形態の身体的、性的、精神的なハラスメント、暴力、いじめによる人権侵害の撲滅のため、子どもとその保護者や指導者、関係者と一緒に活動していきます。
  • 子どもたちの成長過程や第二次性徴、メンタルヘルスに配慮した指導環境を整備します。
  • 選手の公平性を守り、あらゆるドーピングを禁止します。

2. 水鳥

背景

  • シャトルの原料には水鳥の羽根が使われており、推計年間数千万~数億羽もの水鳥(食肉用)の羽根を消費しています*。*出所:シャトルの生産量および水鳥1羽の原毛から製造できるシャトルの数を基にBAJ独自推計
  • バドミントンが盛んなアジア(特に東南アジア)ではプラごみによる海洋汚染が特に深刻であり、水鳥の減少が最も激しいのもアジアで、種の60%が減少している**との指摘もあります。**出所:BirdLife "Waterbirds are showing widespread declines, particularly in Asia" (2024.10.1更新)

主な取り組み

  • 生態系保護とシャトルの安定供給確保のため、水質・海洋汚染の低減、生物多様性への配慮、廃棄物低減・リサイクル促進、そして競技者の意見に耳を傾けながら合成シャトル(人工シャトル)への代替推進を検討してまいります。
  • シャトルに水鳥を用いる競技の責務として、S/Jリーグや一種大会での使い捨てプラスチックゼロに挑戦し、リデュース・リユース・リサイクルによる資源循環を推進します。
  • 水鳥に感謝し、多様な生物の生息環境保護のための教育を積極的に行います。

3. 気候

背景

  • 地球温暖化により、深刻な猛暑の記録が毎年更新されています。気候の変動により、自然災害も激甚化し、台風や洪水、線状降水帯の発生の増加を引き起こしています。冷房のない体育館での熱中症による命の危険や競技人口の減少リスクなど、バドミントンの競技環境においても深刻な影響を及ぼしています。
  • ウェアやプラスチック等の大量生産・消費・廃棄や、用品製造、移動に伴うエネルギー消費など、バドミントンは多量のCO2を排出する可能性があります。

主な取り組み

  • 主要大会でのCO2排出量の削減、廃棄物低減・リサイクル促進などを通じ、気候変動の抑制に貢献します。
  • 教育事業により、地球環境を大切にする精神を育みます。

推進領域とアプローチ

上記の重点分野において、私たちは以下の3つの推進領域の特徴を踏まえて取り組みを進めます。

日本バドミントン協会(BAJ)

  • BAJが模範となり、ガバナンス強化や一種大会に関連したBAJのみで実施できる施策を推進します。
  • 取り組みのインパクトは小さいものの、外部に広く取り組みを展開していくための起点となります。

加盟団体・パートナー
アスリート・指導者

  • BAJが模範となりながら、加盟団体やS/Jリーグ加盟チームの取り組み強化を支援します。
  • スポンサー企業やNPO・市民団体、教育関係者など幅広いパートナーとの協業により、比較的インパクトが大きい施策を推進します。

愛好家・こども達、
そして世界へ

  • BAJやアスリートの発信力、登録会員数の多さといった強みを活かし、愛好家やこども達の意識啓発を進めます。
  • BWF(世界バドミントン連盟)や海外のNF(国内競技連盟)、他競技団体とも連携し、日本の取り組みを世界と共有し、グローバルにサステナビリティの輪を広げます。

重点分野と推進領域のコンセプト図

重点分野と推進領域のコンセプト図

むすびに

私たちは「Rally for Earth」という合言葉のもと、共に地球と社会の課題に挑み、未来を繋ぎ、日本から世界へとサステナビリティの輪を広げていくことを目指しています。

シャトルに水鳥を利用し続けることにより、生態系保護や安定供給という観点から、将来的に競技の持続性に影響をおよぼすリスク、地球温暖化による競技人口減少リスク、そして経済格差などによるスポーツ人口の減少リスクといった喫緊の課題に対し、私たちは真摯に向き合います。

また、誰もが安心してバドミントンを楽しめる共生社会を目指し、DEI(多様性、公平性、包摂性)や人権への配慮も重要な取り組みです。

これらの取り組みは、日本バドミントン協会だけでは成し遂げられません。皆様一人ひとりのご理解とご協力が不可欠です。

我々が持つ47都道府県に広がるネットワーク、ルール形成力、発信力、そしてトップアスリートの存在といった「見えない資産」を最大限に活かしつつも、皆様と共に歩むことで、初めて大きな成果を生み出すことができます。

皆様の日々の活動や意識が、バドミントンの持続可能な未来を築く大きな力となります。

ぜひ、この「Rally for Earth」の理念にご賛同いただき、私たちと共に、バドミントンを通じてより良い社会を創造していくための「仲間」となってください。

皆様と共に、次世代に輝かしい未来を引き継ぎ、バドミントンがこれからも長く愛されるスポーツであり続けることを願っています。

皆様の温かいご支援とご参加を心よりお願い申し上げます。

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